今「天然の健康食品」として、世界中から注目を浴びているマヌカハニー。

〝健康食品&スーパーフード〟としてすっかり定着した感のある「マヌカハニー」だが、意外にも歴史は浅く、世界から注目され始めたのは わずかここ30年の話。それまでマヌカハニーは、ニュージーランド以外の国ではほとんど知られた存在ではなかった。

近年は健康志向が高まり、さらにコロナの影響もあって、ハチミツの需要、中でもニュージーランド産のマヌカハニーの人気が爆発。”Queen of Honey” と称されるマヌカハニーの効能や健康活性パワーが世界中で大いに注目されており、テニス世界No.1プレーヤーのジョコビッチやサッカー日本代表 長友佑都、オリンピック元水泳日本代表メダリストの松田丈志など、一流アスリートも愛用していることを公言している。

ちなみに個人的な内容で恐縮だが、ぼくはニュージーランドを最北端から最南端まで3,000kmを縦断する『Te ARAROA(テ・アラロア)』というロングトレイルに2020年1月から挑戦(※ 1,100km時点でロックダウンにより中断。2022年より再開予定)。その時の行動食として、マヌカハニーやプロポリス、ビーポーレンを常備。ロングトレイルは栄養が偏りがちな食事が多い中、マヌカハニーの豊富な栄養素や健康活性パワーには大いに助けてもらった。

ただ、口コミやネット上では「マヌカハニーはすごい」とよく聞いたり見たりするけれど、じゃあ具体的にマヌカハニーの何がすごいのか。一般のハチミツとは何が違うのか。たくさんの数値やアルファベットが並んでいるが、何を指しているのか。その辺りを知る人は少ない(ぼくも恥ずかしながら、、、最近までは、マヌカハニーは「なんとなくスゴい」という認識しかなかった)。しかし調べれば調べるほどマヌカハニーの奥は深く、知れば知るほどマヌカハニーの魅力に取りつかれている今日この頃。

そこで、マヌカハニーとは何か。マヌカの知られざる歴史から、近年の研究で判明した新事実、正しい選び方、お勧めマヌカハニーや効果的な食べ方など、基礎的なことから奥深いところまで、ぼく個人の感想・体験談も交えながら、さまざまな視点から『マヌカハニーの真の魅力』を紐解いていこうと思う。

マヌカハニー特集の第5回目は『マルチフローラル』と『モノフローラル』の違いについて。マヌカハニーを選ぶ際、「UMFだのMGOだのMGSだの、、、何を基準に選べばいいかわからない…!」という方はたくさんいると思うが(ぼくも完全にその1人)、細かいアルファベットや基準を覚える前に、まずマヌカハニーの基礎知識として知っておくべき言葉がこの『マルチフローラル』と『モノフローラル』の2つ。ここを勘違いしていると、実は自分が考えるマヌカハニーではないものを選んでしまっている可能性もあり得るので…。複雑なアルファベットや数値を学ぶ前に「マヌカハニーの基礎知識」としてこの2つのことを押さえてもらえたらと思う。

第1回:マヌカハニーの驚異の「生命力」とその「神秘」
第2回:マヌカハニーの知られざる歴史
第3回:マヌカハニーと普通のハチミツとの〝決定的な違い〟とは?
第4回:マヌカハニーの正しい「保存方法」と「落とし穴」

マヌカハニーには大きく2種類ある

1994年にマヌカハニー研究の第一人者、ピーター・モラン博士が「ピロリ菌を死滅させる」と発表してから、世界的なブームとなっているマヌカハニー。現在は日本国内でもたくさんの種類のマヌカハニーが出回り、値段も3,000円程度のものから何万円とするものもある。

その人が求めるグレードや使い方によって、その人に合うマヌカハニーは変わるわけだが、「安い!」と思って購入したマヌカハニーのラベルを見てみると「MULIT Floral Manuka Honey(マルチフローラル・マヌカハニー)」と書いてあった、という経験がある人もいるのでは? 

マヌカハニーは大きく分けると「マルチフローラル」と「モノフローラル」の2つに分けられているのだが、2つの違いを簡単にまとめるとこんな感じ。


◎マルチフローラル(MULTI Floral Manuka Honey)
→ マヌカ以外の花の蜜も含んでいるマヌカハニー
→ MGO30~100くらい
→ モノフローラルと比べて価格が安い
 
 
◎モノフローラル(MONO Floral Manuka Honey)
→ 純粋なマヌカの花蜜だけで作れたマヌカハニー
→ MGO100以上のハイグレードのもの
→ マルチフローラルと比べて価格高め

「マルチ」は複数、「フローラル」は花を意味しており、マルチフローラル・マヌカハニーとは、マヌカの花蜜だけでなく、他の花から採れた蜜も混ざっているマヌカハニーのこと。一方でモノフローラル・マヌカハニーの「モノ」は単一という意味、つまり純粋なマヌカの花蜜だけで作れたマヌカハニーのことを言う。

一般論として、モノフローラルはマルチフローラルと比べて健康活性度が高いものが多く、その分 値段も高くなる。ただここで重要なのは「他の花蜜が混ざっているからマルチフローラルは品質が悪い」というわけではないということ。「値段が高ければ高いほどいい」というわけでもないし「安いから悪い」というわけでもない。その辺りはブログの後半に詳しく書くとして、その前にニュージーランド政府が認めている【マヌカハニーの基準】について、しっかり把握しておく必要がある。

2018年からニュージーランドでは「マヌカハニーの基準」が大きく変わった

ここからは少しマニアックな内容になるが、マルチフローラルとモノフローラルの違いについて詳しく知るために、まずはニュージーランド政府が認めているマヌカハニーの基準を知る必要がある。というのも、2018年にニュージーランドでは「マヌカハニーの基準」が大きく変わったから。

近年 大きく揺れ動いているニュージーランドの養蜂業界。マヌカハニーが世界中で人気が高まっているのを受けて、それに味を占めた一部の悪徳な業者が他のハチミツと混ぜて販売したり、健康活性度の数値を偽装して販売するなど大きな社会問題になっている。事実、マヌカハニーは1,700トンしか生産されていないにも関わらず、「マヌカハニー」と表示された蜂蜜は世界で1万トンあまり販売されていることを、ニュージーランド政府は2014年に明らかにしている。

つまり、偽物のマヌカハニーが世界中で販売されているということ。

そこで、ニュージーランド政府はマヌカハニーの信頼性を取り戻すため、2018年からすべてのマヌカハニーは、新しい2つの検査を行うことが義務づけられた。1つはマヌカの【DNA】を検査するもの。そしてもう1つがマヌカ特有の4種類の物質の含有量を検査するというもの。

この2つの厳しい検査がニュージーランド政府認定の機関にて行われ、基準を満たしたもののみニュージーランド国内では「マヌカハニー」と認められるように。そしてここで基準を満たしていないものは「マヌカハニー」として販売することができなくなったというわけだ。

マルチフローラルとモノフローラルの違い

ニュージーランド政府認定の機関による2つの検査で晴れて「マヌカハニー」と認められたものは、さらに2つに分類される。それが『マルチフローラル』と『モノフローラル』の2つなわけだが、マルチフローラルとモノフローラルの違いを一言で言うならマヌカの純度

ミツバチの行動範囲は2~3km以内と言われており、蜜箱の周辺2~3km以内にマヌカの花以外の花が存在していなければ、マヌカの純度は限りなく100%に近づくわけだが、そのような場所はニュージーランド国内においても限られてきてしまう。

もちろん生産者はミツバチの行動をコントロールできるわけではないため、マヌカ以外の花蜜をミツバチが持ち帰ってくることでマヌカの純度は落ちてしまうものの、マヌカの抗菌作用や栄養素がたくさん入っているのに「マヌカハニー」を名乗ってはいけない…というのは生産者側としてもすごく酷な話。

そこで、マヌカハニー産業を後押ししているニュージーランド政府が、純粋なマヌカの花蜜以外にも他の花蜜で作れたマヌカハニーを「マルチフローラル・マヌカハニー」と定義づけをすることで、「マヌカハニー」とうたっていいけど、ちゃんと他の花蜜が混ざっていることを示してね、という形を取ることになった(この辺りは実にニュージーランドらしく誠実な対応だなとつくづく感心)。

ただこの2つだけで比べてしまうと、どうしても「モノフローラルの方がいい」「マルチフローラルは良くない」と見られがちなので、マルチフローラルとモノフローラルの「2つの軸」ではなく、もう1段階加えた「3つの軸」からマヌカハニーを見てもらえたらと思う。

この「3つの軸」からお伝えしたいことは2つ。1つは 偽物のマヌカハニーが世界中に出回ってしまっているということ。そしてもう1つは、マルチフローラルも「マヌカハニー」としての基準をしっかり満たしているハチミツだということ。

マルチフローラルであっても「マヌカハニー」としての風味や栄養素、殺菌作用をちゃんと期待できるということをニュージーランド政府が認めており、「他の花蜜が混ざっているからマルチフローラルの品質は悪い」というわけではないのでご安心を。

マルチフローラルはこんな人におすすめ

マルチフローラルの一番いいところは、モノフローラルと比べて価格が安いにも関わらず、マヌカハニーの栄養素や効果をちゃんと期待できるところ。

「モノフローラルは値段が高くてなかなか手を出せない」
「たくさん使うのはためらってしまう」
「料理に砂糖代わりとして使いたい」

そんな方はまずマルチフローラルのマヌカハニーから使ってみるのがお勧め。やはりマヌカハニーは高い買い物だから、大量に使うのは少し気が引けてしまうし、気兼ねなく日常使い&健康管理したい人にはぴったりのマヌカハニーだなと個人的には思っている。

▼ ネルソンハニー社のマルチフローラル・マヌカハニー ▼

マヌカハニーを選ぶ上で最も大切なコト

さて、マルチフローラルとモノフローラルの違いについて色々と書かせてもらったが、個人的な意見を言わせてもらえば「マルチフローラルとモノフローラルどっちがいいのか?」ではなく、「これは ”信頼できるマヌカハニー” なのか?」という視点でマヌカハニーを選んで欲しいということ。

もちろんMGSやUMF、MGOなとの基準・数値はマヌカハニーを選ぶ際の大切な「指標の1つ」ではあるけれど、あくまで「指標」でしかない。そんなぼくがマヌカハニーを選ぶ上で最も大切にしていること。

それは
どのような「生産者」が
どのような「場所」で
どのような「工程」で
どのような「思い」で
その製品を生産しているのか。

これはマヌカハニーだけでなく、ぼくらが口にするすべての食品においても同じこと。

残念ながら現在の日本は添加物や農薬の使用量は世界の1位、2位を常に争い、遺伝子組換えや成長ホルモン、抗生物質などが食材に大量に使われているなど、日本の「食事情」は悲惨な状態。

ぼくは、2018年に出版したガイドブック『LOVELY GREEN NEW ZEALAND』の取材で、たくさんのカフェやレストラン、マヌカハニーやオリーブオイルなどを生産する工場にもたくさん足を運ばせてもらったけど、多くの企業が環境に配慮し、無添加・オーガニックな食材にこだわった安心・安全な製品づくりを心掛けている様子を何度も目の当たりにした。

もちろん価格やグレードスペックは大事。でもそれは二の次で、まずは購入しようとしているマヌカハニーが信頼できるものなのか。それを理解した上で、グレードやスペック、価格から決める。この順番でマヌカハニーを選んでもらえたらと思っている。

ぼく自身も、ニュージーランドの製品やこのブログを通して、日本人の『食』に対する考え方や意識が少しでも見直してもらえるようなキッカケをこの場で作っていけたらという思いで記事を書いていきます。次回以降もマヌカハニーについて(歴史/新事実/正しい選び方/お勧めマヌカハニー/効果的な食べ方など、複数回に渡って、さまざまな視点からマヌカハニーの魅力をぼくなりに紐解いていきます。ぜひ次回もお楽しみに!

▼ トミマツタクヤ 一押しのお勧めマヌカハニー ▼


トミマツタクヤ
ニュージーランド写真家

大学卒業後、大手企業に就職するも会社員生活に馴染めず転職を繰り返す。度重なる体調不良をきっかけに会社員生活に終止符を打ち、2013年 世界一周を夢見てニュージーランドへ初渡航。数ヶ月の滞在予定がニュージーランドのライフスタイルやウェルビーイング(心の豊かさ)に衝撃を受けて、1年4ヶ月もの歳月を過ごす。

帰国後は人生観を大きく変えてくれたニュージーランドの魅力を届けるべく、ニュージーランド写真家として活動を開始。『Small is Beautiful -より小さく より美しく-』をテーマに撮影・表現活動を行う。2015年から過去50回に渡り「写真×音楽×ストーリー」を組み合わせた上映会スタイルの写真展『Small is Beautiful』を日本全国で開催。”写真展示のない写真展” として話題を呼び、延べ5000名以上を動員。自身の人生をも変えたそのメッセージと世界観は多くの人の感動を呼ぶ。

2018年9月にはガイドブック『LOVELY GREEN NEW ZEALAND』を四角大輔氏らと共に出版。2020年1月にはニュージーランドの最長ロングトレイルコース『テ・アラロア』3,000km縦断に挑戦するも、ロックダウンにより1,100km時点で中断(2022年11月より再開予定)。

2020年5月には幸福先進国ニュージーランドに学ぶ「心豊かな生き方=Small is Beautiful」について学び、実践するための オンラインコミュニティ『iti(イティ)』をスタート。日本にいながらもニュージーランドを感じられるような場を作るべく『iti village project』を起ち上げるなど、“Small is Beautiful” の世界観の追求を続けている。

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▶︎ 撮影用HP:TAKUYA LeNZ Photography

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